登山を始めるとなった際に、まず用意すべき道具としては登山靴でしょう。
街中とは異なりデコボコした道を長時間歩きますし、歩いた後はやはり足が疲れますし、足首が痛くなったりしやすいので、足元が第一です。
ただ、アウトドアショップに行っても登山靴は色々な種類がありますし、「登山靴」とは言わないものの登山に使える靴もあります。
今回はそんな登山靴の選び方についてです。
登山靴の種類
まず登山靴といっても、以下のような種類があります。
- トレッキングシューズ:以前は軽登山靴と言い、低山のハイキングが主用途。
- 登山靴:以前は重登山靴と言い、岩場の登山や縦走が主用途
- 雪山登山靴:雪山を歩くための登山靴
- トレイルランニングシューズ:低山を走るトレイルランニングのための靴
以下で、それぞれの靴について見ていきます。
トレッキングシューズ
登山を始めて最初に買う靴は、このトレッキングシューズだと思います。
ハイキングシューズとトレッキングシューズを分ける場合もありますが、ここではひとまとめにして扱います。
一般的に、足首を覆うようになっており、靴底も厚く、スニーカーに比べて「しっかりとした靴」という印象ですね。
ただ、低山をハイキングするのが主用途となっており、登山靴の中で見ると、比較的軽く、靴底も柔らかいのが特徴です。
スニーカーから履き替えても、それほど大きな違和感なく歩けるようになっているので、登山用として最初に買うものとして最適ですね。
なお、足首を上まで覆うのがハイカット、足首をほとんど覆わないのがローカット、中間がミドルカット、と言われます。
登山靴
岩場の登山や縦走が主目的となっており、トレッキングシューズと比べると、重く、靴底が固くなっています。ほとんどがハイカットの靴です。
岩場などでつま先だけで立つときに、安定感があるようになっています。
また、トレッキングシューズよりも靴底の溝が深く、滑りにくいです。濡れた木道や石の上などを歩く際に、大きな差となります。
ただ、重くなっているので、脚力がないと疲れやすいというデメリットがあります。
足元の100gはザックの600gと同じ、という説があるほど、足元が重いと足への負担は大きくなります。
足にぴったりの靴を履いていれば、それほど重さを感じないものですが、そうは言っても軽いと楽ですので、用途に合わせる必要がありますね。
雪山登山靴
雪山に登る際に履くものです。防水であるのはもちろん、防寒も非常に重要です。
また、雪山ではアイゼンを装着するため、歩いてもアイゼンが外れないように靴底が非常に硬くなっています。本格的な厳冬期用の登山靴では、靴底は曲がりません。平地だと歩きにくいこと、この上なし、です。
当然重く、雪山専用で、雪のない時期に使うことはありません。
トレイルランニングシューズ
最近はこのトレイルランニングシューズ、略してトレランシューズをよく見かけるようになりました。
靴底はトレッキングシューズ並みの厚さであるものの、基本的にローカット(足首が覆われない)で軽量化されているのが特徴です。
脱いだり履いたりをしやすいように、靴紐ではなくリール(釣り糸のような丈夫な糸)になっているものも多いです。
トレランシューズも登山靴同様に、低山メインのものから登山向きのものまであるので、登山向きのものの方がいいですね。
登山靴の選び方
色々な登山靴がありますが、以下のように選ぶのがよいと思います。
- まずは靴と足の形が合うことが最重要。登山時と同様に厚めの靴下の上から実際に試し履きして、できれば30分ほど店内や下り坂を歩いたりして、足先が当たらないこと、痛くなるところがないことを確かめる
- 初心者はまずはトレッキングシューズから。それなりに登山をしていこうと思うなら、GORE-TEXの防水シューズがオススメ。慣れていない人はハイカットの靴がオススメ。
- 個人的にはお勧めしませんが、靴の脱いだり履いたりがどうしても面倒なら、リールアジャストの靴。ただ、リールアジャストの靴は5年程度で器具が痛んでしまうので、5年程度で買い替えるつもりで。また、登山中のリールが切れることがよくあるので、リールの替えを持参すべき。
リールアジャストの場合、つま先から足首までと、足首から上で、締め方を2か所で調整できるとベスト。つま先から足首までは登山中しっかり締めるものの、足首から上は登りでは緩めて下りで締めると歩きやすいので。 - 靴紐タイプの場合で長く使おうと思うなら、靴底の張り替えができるタイプのものを。
- トレッキングシューズをすでに持っていて重登山靴を初めて買うなら、ある程度の雪山に行けるもの。つまり、完全防水で、靴底が固く、ある程度の保温効果があるものがよい。
雪山登山靴は非常に高価で、また寿命が5年程度なので、雪山を始めて最初のうちは手持ちの重登山靴で雪山も行けるほうがいいので。
靴底(ソール)の硬さ
一般に、トレッキングシューズは靴底が柔らかく、登山靴、特に本格的なものほど靴底が固く重くなります。
なぜこのような違いが出るのでしょうか?
- トレッキングシューズはハイキングや軽めの登山用途であり比較的フラットな地面を歩くので、スニーカーなど普段の靴と変わらず歩けるように、靴底が曲がり、足首も曲がり、スナップを利かすようにつま先で蹴とばす歩き方ができるようになっている
- 一方の登山靴は、足場が悪くつま先立ちをするような岩場を通ったり、長距離を歩くのが用途なので、つま先立ちで安定させられ、歩くときに足裏がてこの原理で体を前進させられるように、靴底が固くなっている。
靴底が固いほうが、地面の凸凹を吸収してくれるので、足への負担が小さい。
長距離を歩くのであれば、多少靴が重くなっても固い靴底の方が、足の筋肉への負担を下げられる、ということですね。
慣れないうちは足首が曲がらず歩きにくいでしょうが、歩いているうちに慣れてきます。
トレイルランニングシューズを登山で使っていい?
先ほどの登山靴の選び方のところで、トレランシューズについて触れませんでした。トレイルランニングをする人は迷わずトレランシューズを履くと思うのですが、トレランしないものの登山用途でトレランシューズを履いてよいか?というのが、ここでの疑問です。
これは、人により意見が色々で、模範解答が難しいです。ここでは、私個人の意見を記載してみます。
- ある程度登山に慣れてくるまでは、トレランシューズは履かない。歩き方がしっかりして脚力も付いてきて、足首がしっかりしてから、足首サポートのないトレランシューズを履くようにする
- トレランシューズは靴底の溝の浅いものが多いが、靴底の溝の深いものを選ぶ。溝が浅いと滑りやすいので。(トレランをする場合は少し滑るくらいのほうがスピードが出やすいそうですが、登山だとグリップ力が重要なので)
- トレランシューズには靴底の硬いものから柔らかいものまで色々あるが、登山目的であれば靴底の硬いものを選ぶ。靴底が固いほうが、地面の凸凹を吸収してくれるので、足への負担が小さい。
- 多少のぬかるみなども気にせず歩けるので、防水性能があると安心。(トレランでは、水たまりなども走って通るため足の中に水が入ってしまい、防水機能があると逆に中の水が乾きづらいという問題が出てきますが、走らない登山の場合は水たまりなどはある程度避けられるので、防水性能のあるほうが歩きやすい)。
- ただ、雨の場合はトレランシューズは履かない。登山靴に比べて滑りやすく、防水性能も不十分なので(足首のところから水が入ってきやすいので)。
私の登山靴
ちなみに、私は以下の登山靴を持っています。
メインの登山靴で、夏山の縦走からある程度の雪山にまで対応する4シーズン用登山靴です。
ただ、重い、靴底が厚くて車の運転はしづらい、といったことがあり、ライトな用途としてもう1足持っています。
こちらはトレランシューズですが、低山ハイク用、つまりトレッキングシューズとして使っています。
近所の低山に出かけたり、出張の際に持参したり、初心者の知り合いを連れていくような際には、こちらを履いています。
GORE-TEXで、多少濡れている登山道でも気にせず歩けるところも気に入っています。
ただ、靴底の溝が浅くてグリップ力が弱く、雨や雪の降った後は滑りやすいので、次回買うならもっと靴底の溝の深いものにしようと思っています。
実際に履いたことはないのですが、グリップ力が強いという噂の以下を買いたいなと思っています。
最後に
参考になりましたでしょうか。
結果的には、厳冬期の雪山を除くと以下の2種類を持つのが良いと思います。
- 気軽なハイキングや日帰り低山用のトレッキングシューズ(歩きなれていればトレランシューズ)
- 泊りがけの縦走や初歩の雪山に対応できる重登山靴
何よりも、靴と足の形が合うことが最重要です。実際に店に出向いて、色々な靴を履いて納得のいく一足を選んでくださいね。