前回は「私の雪山登山服」として、私が実際に使っている雪山登山服を紹介しました。
今回は登山服以外の雪山時の装備品として、私が実際に使っているものを紹介します。
アイゼン
雪山装備と言えば、まずアイゼンでしょう。
使用しているのはグリベルG12という12本爪のものです。
グリベルは、アイゼンでおそらく一番ポピュラーなものだと思います。
雪山にも使用しているモンベル アルパインクルーザー2500にはアイゼンをひっかける「コバ」がついていないので、ワンタッチ式ではなく、紐でしっかりと留めるタイプです。
右側は裏向けていますが、黄色い中心部が盛り上がっているのは、「アンチスノープレート」と言ったりしますが、雪がくっつかないようにするための形です。
これは5年以上前に買ったものなので、かかと部分の留め具(銀色の部分)がやや外れやすく、実際に雪壁を登っている最中に外れたことがあり、冷や汗をかきました。今のものは改善されています。
また、一部はプラスチックでできており、経年劣化で割れたことがあり、この際も冷や汗をかきました。
登山前に状態をチェックし、定期的にメンテナンスしていく必要がありますね。
ちなみに、アイゼンの歯は時々ヤスリで研いでいます。
チェーンスパイク
アイゼンを使うほどではない雪渓などを通過する際には、以前は軽アイゼンと言われるものを使用していました。
ただ、軽アイゼンは脱着が面倒なので、最近はすっかりチェーンスパイクです。
これは裏向けた状態ですが、青色のゴムを伸ばして、靴裏をすっぽり覆うようにすれば、靴裏に小さな突起が密着する、という仕組みです。
脱着がとても楽で、対応できる範囲は軽アイゼンとそれほど変わらないと思います。
初冬や春の残雪期などは、アイゼンとチェーンスパイクの両方を持っていき、雪の状態に応じて使い分けています。
スパッツ
これはPAINEのGORE-TEXのロングスパッツ。
夏山用のスパッツだと後ろ側にチャックがついているものもありますが、ある程度の価格になる雪山用スパッツだと、ほぼ前側にチャックがついており、装着しやすいです。
これまで特に不自由なく使用しています。
当時、モンベルのものよりも分厚く頑丈だったように記憶しています。
ただ、これでもアイゼンなどで引っ掛けると破れるので、次に買うとすれば、内股側が頑丈で破れにくいものにしようと思っています。
ピッケル
雪山装備として憧れの対象にもなるのが、ピッケル。
これはBlack Diamondのレイブンというモデルで、価格の安さで選んだものでした。
以前は足のくるぶしまで来る長さが標準で、それを縦走用と称して、雪山の際に縦走でも雪壁でも幅広く使えるモデルということになっていました。
しかし現在は、ピッケルだけでなくストックも持参し、縦走時はストックメインで、雪壁など傾斜が急な時だけピッケルを使うというのが主流で、ピッケルは短めで曲がりのあるものが標準的です。
なかなか雪壁が連続するようなところには行かないので、このモデルで不足はないのですが、短く曲がった本格的なピッケルには、ちょっとあこがれてしまいますね。
ちなみに、ピッケルにはリーシュという紐をつけています。
以前はリーシュを体にたすき掛けで結び付けるのが日本では標準でした。
しかし、滑落した際に手から離れたピッケルがリーシュのせいで戻ってきて体に刺さる事例があり危険だということで、世界的にはリーシュを体に結び付けることはしません。
以前は手首にリーシュをつける、最近はリーシュをそもそもつけないのが一般的だそうです。
そして、最近は日本でも体にたすき掛けで結びつける方式は減ってきたようです。
私が購入した頃には日本式のたすきがけが標準でしたが、私は世界標準を取って手首型にしていました。
雪壁を登るのも少ないので、滑落よりはピッケルを落とすことのリスク対策として、私は手首に巻く方式で使い続けています。
ちなみに、剱岳のカニのタテバイの手前で、手首にまかない状態で使用していたピッケルを落としてしまったことがありました。
その際は途中で止まってくれたので拾いに行けましたが、やはりリーシュを手首にしっかりと巻いておくべきだなと個人的には思っています。
ワカン
ワカンとカタカナ表記していますが、もとは「輪かんじき」の略です。
トレースがない雪山など、フカフカの雪で足が沈んでしまう際に、浮力を持たせるために足に装着するものです。
より浮力の大きいものとして、スノーシュー(西洋かんじき)もあり、ワカンとスノーシューの両方を使っている人も多いですね。
ただ、「雪山装備の揃え方 歩行道具」に記載したように、きつい傾斜を登れず、アイゼンとの併用ができず、重くて高価なスノーシューは、なかなか買おうという気になれず、ずっとワカンを使用しています。
子どもと2人で雪山に行くので、私はワカンを2つ持っています。
1つ目はエキスパート・オブ・ジャパンのスノーシューズという商品。
2つ目はMAGIC MOUNTAINのワカン。
2つで装着方法が異なるので使用時によく混乱してしまいますが、装着してしまえば、どちらもそれほど使用感は変わりません。
MAGIC MOUNTAINのほうが、やや浮力は大きいかもしれません。
アイゼンとワカンの併用も、よく使います。
初心者のうちはトレースのある人気の雪山だけに行くべきで、その際にはワカンは不要ですが、慣れてきて人の少ない山にも行くようになると、ワカンがないと進めないことも出てきます。
行く山や雪の状態に応じて、必要になる道具ですね。
これは1月に、福島県と宮城県の県境の西吾妻山に行った際の写真。
写真箇所は50cmくらい足が潜っていますが、みなさんワカンかスノーシュー持参です。
ここをアイゼンだけだとさらに20~30cmほど足が潜ってしまいます。
この先でトレースが薄くなり、ワカンをしていても1mほど潜る場所もあり、非常に苦労しました。
ということで、ある程度雪山に慣れてきたら、ワカンも装備品に加えましょう。
スノーシューはお財布と相談して決めてください。
スコップ
BC(バックカントリー)スキーでは、スコップ、ビーコン、ゾンデ棒を雪崩対策の3種の神器と言います。
雪崩の際に雪の下から人を助け出すためにスコップは必須というわけです。
雪山登山でも雪崩は同じですので持参すべきなのですが、重さを嫌って普段は持って行っていません。
ただ、雪山テント泊の際にはスコップは必須です。
雪面を平らにする、風よけのための雪のブロックを切り出す、などでスコップが必要になるわけです。
「雪山装備の揃え方 テント泊」にも記載しましたが、金属製で平らなスコップがオススメです。
私が持っているのは、BCスキーでは非常に有名な、K2 BACKSIDEのレスキューショベルという商品です。BCA社がK2社傘下になり、いまはショベルはBCAブランドで販売されています。
特に不足はないのですが、もっと平らなもののほうが雪を切り出しやすくてよかったかな、と思っています。
スノーソー
雪のブロックを切り出す際の雪用のこぎりをスノーソーと言います。
雪山登山として持っている人は半分を大きく下回り、10%もいないのではないかと思います。
これは実はスノーソーではなく単なるのこぎりで「シルキー ゴム太郎」という商品ですが、スノーソーとしても問題なく使用できます。
スノーソーをなぜ持っているかというと、イグルーを作りたかったからです。
イグルーとは、アラスカのイヌイット(エスキモー)が氷で作る家のことで、日本でいう「かまくら」です。
イグルーを作るには直線で雪のブロックを切り出す必要があり、スコップでは不十分です。
まだイグルーで泊ったことはないのですが、そのうちイグルーで泊りたいですね。
象足
雪山用のテントシューズのことを象足と言います。
テントでシュラフの中とはいえ、手先、足先は非常に冷えます。
そこで、足先の防寒のために必要となるのが象足です。
上側はモンベルのエクセロフトという化学繊維の象足。
最初にこちらを購入したのですが、これだけでは寒すぎて、下のISUKAのダウンの象足を追加購入しました。
雪山ではこの象足を二重に履いて、モンベルのダウンハガー#0に入って寝ます。
また、テント泊では、ダウンジャケット、ダウンパンツ、フリースジャケットも持参します。
最後に
雪山に行くとなると、色々とモノが必要で、お金もかかりますね。
徐々にスキルアップして、スキルと行き先に合わせて徐々に装備もそろえていくのがいいですね。
「雪山装備の揃え方 歩行道具」「雪山装備の揃え方 テント泊」も参照ください。