「雪山装備の揃え方 歩行道具」「雪山装備の揃え方 登山服」に続いて、テント泊する際に必要となる道具についてです。
雪山においても、テント泊するとなると一気に難易度が高くなりますね。
ここでは、天気のいい時に1泊2日する程度という前提での装備を考えていきます。
夏山との違い
同じテント泊なので夏山でも雪山でも大きなところに違いはないのですが、いくつか違いがあります。
- 地面が雪で覆われている
- デコボコだったり柔らかすぎたりする
⇒整地しないとテントを張れない - 朝になると雪が固まって固くなっている
⇒テントのペグが抜けないし、なくなりやすい
- デコボコだったり柔らかすぎたりする
- 風が強い
- 冬は風の強いことが多く、テントが揺れるし寒い
⇒風よけのために雪のブロックを積み重ねることが必要
- 冬は風の強いことが多く、テントが揺れるし寒い
- 非常に寒い
- テントの中も氷点下で寒い
⇒十分な防寒具が必要 - テントの中で呼吸しているとテントが結露する
⇒テントの中も濡れる
- テントの中も氷点下で寒い
こうしたことに対応するために、装備も追加の必要があります。
テント関連
まずはテント関連から。
テント
テントは夏用と同じで問題ありません。
ただ、いくつか気になる点を記載しておきます。
- 雪山では防寒具など荷物も多いしテント内で煮炊きをします。また、外に荷物を出しっぱなしにすると雪をかぶったり冷えて硬くなったりするので、すべての荷物をテント内に入れます。1人で泊まるなら2人用と、少し大きめがいいと思います。
- 重要なのは、靴もテント内に入れます。プラスチックブーツの場合は冷えて硬くなってしまうので、シュラフ内に入れたほうがいいと聞きます。私は革靴なのでテント内まででシュラフには入れませんが
- ただ、大きすぎると体温や暖かい呼気が広がってしまって温まらないので、大きすぎないほうがよいです。
- 人の熱や呼気で、テントの内側は霜がつき、水滴が落ちるほど湿度が上がります。霜や水滴を拭き取れるように、てぬぐいやタオルを持参します。
その他、大量の霜のついたテントを朝の出発時にきれいにたたむのは難しいので、大きいビニール袋を用意して、その中にテントを入れるとよいです。
また、帰宅後に乾かすのが必要ですね。
また、テントに付随するものとしていくつかあります。
- 雪山用としてスノーフライがありますが、晴天時のみ雪山に行くというようにしていれば、スノーフライは不要と思います。スノーフライは1kg近くの重さがあるので、軽量化重視です。
- 雪山では地面は雪でありテントの底を傷つける要素はないのでグランドシートは不要、という意見をよく聞きます。グランドシートは不要かもしれません。私は、雪の寒さを多少抑えるのではないかと思って使用していますが、効果のほどはわかりません。。。200g程度の重さをどう見るか、ですね。
- 寝るときに雪山登山靴をテント内にしまっておいたほうが安全です。外に出しておくと、朝にはカチコチになっています。特にプラスチックブーツの場合には、固くて中に足を入れられないようになるのでシュラフの中に入れて一緒に寝る、という話を聞きます。私は革靴なので、そこまでしませんが。
私が持っているのは、きわめてオーソドックスな、モンベルのステラリッジテントです。
私は2型(1~2人用)と4型(3~4人用)を持っています。
雪山だと、2型で1人用としてちょうどくらいです。
スコップ
テントを張る場所の整地をするために、また風よけの雪のブロックを切り出すために、スコップが必要です。
- 登山用のスコップは、持ち運びを考慮して、刃と軸&持ち手が分かれたり、軸が伸び縮みできるタイプのものが多いです。
- プラスチックのものは軽くていいですが、固い雪の場合に苦労するので、金属製がオススメです。
- 雪のブロックを切り出す際には、ブレードが丸まっているものより平らなものの方が作業がしやすいです。
私が持っているのは以下のスコップで、BCスキーでは非常にメジャーな商品だそうです。
少し湾曲しているので、本当に平らなもののほうが良かったかもしれません。
ちなみに、バックカントリースキーなど雪山をする人にとって、埋まっている大まかな場所を探すビーコン、人の埋まっている場所をピンポイントで探すゾンデ棒、人を掘り出すスコップの3つは、雪崩対策の3種の神器と言われています。
割りばし、竹ペグ
夏山テント泊では、金属製のペグを使っていると思います。
雪山ではペグを雪の中に埋め、踏み固めて固定するわけですが、往々にしてペグがなくなります。
そこでペグ代わりに、割りばしや竹をペグ代わりにします。
私は割りばし2本を十字にし、その十字箇所にテントの張り綱を巻いて、割りばしごと雪の中に埋める(あるいは上から雪をかぶせる)、という方法を取っています。
割りばしなら、万一なくなっても、それほど痛手ではありません。もちろん自然環境のためにも、なくさないように注意しましょう。
寝具
次にシュラフなどの寝具関連です。
シュラフ
寝るときは体を動かさないので、異様に寒いです。
分厚いシュラフを持っていくわけですが、やはり重くなるので、ダウンのシュラフがよいと思います。
ただ、ダウンの欠点は、濡れると保温効果が薄れるという点です。
テントのところで記載したように、雪山ではテント内は湿度が高く水滴も落ちてくるので、1泊だけならダウンシュラフのみでOKですが、2泊以上する場合にはシュラフカバーを持参すべきですね。あるいは、化繊綿のものを使うかですが、重くなるのが難点です。
私はダウンで定評のあるモンベルの、ダウンハガー800 #0を使っています。コンフォート温度=-10℃、リミット温度=-18℃となっていますが、それでもやはり寒いですね。
寒がりの人は、#0 より寒冷地用の EXP のほうがよいと思います。
また、シュラフ以外に防寒具も必要です。
防寒具
シュラフだけでは寒いということで、防寒具も必要です。
防寒には、やはり軽くて暖かいダウンです。ダウンジャケットとダウンパンツが必需品です。
また、寒いのは、やはり指先です。手は歩行時の雪山用手袋を着て寝ます。
足先は靴がなくなるので、代わりにゾウ足を持参します。ゾウ足とは、ダウンなどで作られたフットウォーマー(テントシューズ)です。私は冷えやすいので、ゾウ足を2つ持参して、重ね履きします。
マット
寒さを防ぐために重要なのはマットです。
マットの防寒性能で定評があるのが、サーマレストです。
銀色の面を下にして、雪の冷たさを外側でシャットアウトする、ということですね。
上記のサーマレストzライトは、夏山も含めて極めてオーソドックスなものです。
折りたたみができて、持ち運びもしやすいのが特徴です。
丸めるタイプのほうが断熱効果が高い(R値が大きい)ので、持ち運びしやすさをとるか、断熱性能を取るか、の選択となります。
私は両方持っているのですが、最近は折りたためるzライトばかりですね。
軽さと防寒性を考えると空気注入式のエアマットもありますが、万一穴が開いていたりすると致命傷となるので、私はエアマットは使用していません。
終わりに
雪山テント泊をするとなると、どれも必要となる装備です。
上の写真のようにイグルーを作る、雪洞を掘る、といった別の方法もありますが、いずれにせよハードルが高いですね。
まずはGWなどの残雪期に一度練習してみるといいですね。
十分な経験と装備で、雪山テント泊に臨みましょう。
私が実際に使っている道具は、「私の雪山登山装備」に記載しています。
まだ読んでいない方は「雪山登山の始め方 既存装備での安全なお試し方法&ルート」もどうぞ。