天気予報 高精度の SCW, Windy, Mountain Weather Forecasts の使い方

登山に行く際に気になるのは、なんといっても天気ではないでしょうか。
登山中に雨に降られるのは避けたいという人が多いでしょうし、雨に降られてもいいと言う人でも事前に雨が降るかどうかわかっているほうが安心ですよね。

天気予報で「晴れ」と出てきても、すぐに安心してはいけません。天気予報で単に晴れか雨かを見るだけではなく、快晴か、雨が降る可能性がありそうか、といった判断をするために天気予報をどう活用するか、まとめてみました。

精度の高い天気予報サイト

色々な天気予報サイトがあり、登山用の情報を出しているところも多々ありますが、その予報精度には差があるように感じます。
私がよく使うサイトは以下の通りです。

月額課金の有料で、直近2日の予報しかありませんが、信頼度は一番高いと思います。有料のため気軽には使えないですし、雪山以外では他のサイトで十分代用できると思います。
あとは、木曜日に配信される週末のおすすめ山域が役に立ちます。

英語のサイトで、風速が秒速ではなく時速ですが、予報が簡潔に出てきて見やすいです。

スーパーコンピュータが予測する高解像度の天気予報。山の場所を意識して、周囲の雲や雨の様子を見ることで、雨が降りそうかどうかの判断を行う必要があります。

こちらも、山の場所を意識して、周囲の雲や雨の様子を見ることで、雨が降りそうかどうかの判断を行う必要があります。

登山者の中では「てんきとくらす」を見ている人が多い印象です。

降水確率と風の強さで登山指数がA~Cのランクで示されるのでわかりやすいのですが、個人的な印象としては、精度がそれほど高くないように感じます。
麓の町での天気に対して、単に高度を上げて天気を予測しているだけなのではないか、と思っています。

以下では、上記の中で私がよく使用するサイトにおいて、その予報をどう見るかをお伝えします。

Mountain Weather Forecasts

英語のサイトのため、気分的にかなりハードルが高い気がしますが、英語がわからなくても使いこなせます。
まずはMountain Weather Forecastのサイトにアクセス

左上の検索窓に、行きたい山の名前をアルファベットで打ち込みます。メジャーな山しか載っていないため、検索して出てこなければ近くのメジャーな山を打ち込みます。下段に山の候補が出てきますので、自分の行きたい山を選びます。

すると、以下のようにその山の予報が表示されます。

赤枠で囲ったところをクリックすると、細かな時間で予報を見ることができます。

この予報の見方ですが、赤枠で囲ったところを説明します。

  • 月や太陽マークは見た通りで、晴れか曇りか雨・雪かを示しています。なお、後で記載しますが、この予報を100%は信用せず、別のサイトで天気が崩れる可能性がないか、チェックします。
  • その下は風の強さです。色の赤、オレンジ、黄色、緑、白で風の強さを示していますので、赤やオレンジだと風が強い、緑や白だと風が弱いと見ればOKです。
    ちなみに、描かれている数字は時速kmですので、3.6で割ると秒速m表示になります。
    • 秒速10mまでは普通に登山ができますが、町中で秒速10mだと風が強いと感じるレベルです。
    • 秒速15mになると登山に置いても風が強いと感じると思います。
    • 秒速20mになるとまっすぐ歩くのが厳しくなりますので、登山は避けたほうが無難です(ただ、八ヶ岳の冬山だと日常茶飯事です)。
    • 秒速30mになると人が風で飛ばされるので登山は避けるべきです。
  • 間を空けて下側には気温が書かれています。

こうして見ることで、晴れか曇りか雨・雪か、風が強いか、暑いか寒いかを知ることができます。
ただ、先ほど記載したように、晴れか雨・雪かだけでは不十分なので、別のサイトで詳細にチェックします。

Windy

Windyのサイトにアクセスします。

右上で「風」が選ばれていますので、ここで赤枠のように「雲」を選びます。

無色は雲がなく快晴、白っぽいのは雲、色がついていれば雨か雪が降るという予想です。
画面右上の赤枠で囲った「+」「-」で拡大・縮小ができますので、見たい山のあたりを少し拡大します。

ここでは南アルプスの北岳・間ノ岳あたりを見ています。
画面下部の目盛りのところが時刻を示していますので、ここを動かすことで登山日の予報を見ることができます。
間ノ岳のところをクリックすると「0%」と記載されているのは、雲の量が0%、つまり快晴という予報です。
「0%」の右となりの下向きの矢印をクリックすると、3時間単位の細かな予報を見ることもできます。

ここで晴れや曇りのマークだけに注目しがちですが、ここからが重要なポイントです。
空に広がっている雲の量が全天の8割以下なら晴れとなります。8割も雲に覆われていても晴れということになるのです。
また、予報は100%正確とは言えませんので、晴れ予報でも予報が少しずれて雨が降るかもしれません。雨が降る可能性があるかどうかは、以下のように時間や場所をずらしてチェックします。

まず、場所をずらす、つまり周囲の天気を見てみます。

間ノ岳のあたりは快晴とは言うものの、南側には真っ白、つまり厚い雲があり、白以外の色(青など)が混じっており,少し雨が降る予報です。少し予報がずれて、この雲の進路が変われば、北岳・間ノ岳も雲に覆われたり、雨が降る可能性があると判断できます。
低気圧はおおむね時速30~50kmですので、100kmの範囲だと2~3時間の安全幅、200㎞の範囲だと4~6時間の安全幅とみることができます。

次に、時間をずらす、つまり画面下の時間をずらしてみます。

先ほどから少し時間をずらすと、先ほどの南側の雲が発達し、色が青から黄色に変わり,雨が強く降るようになることがわかります(画面右下の赤枠箇所で、色と雨の強さの対応が記載されています)。
つまり、時間および場所の予報がずれれば雨の降る可能性があるかも、と考えるべきです。

また、天気は一般的に西から東へ、つまり図の左から右へと動いていきます。左下の再生ボタンを押して雨の降る地域の動きを見ることで、何時間ほど後から天気が崩れてきそうかがわかりますので、予報通りなら1日後から天気が崩れてきそうなので多少ずれてもあと半日は大丈夫だ、といった判断を行うことができます。
こんなふうに、登山する場所の天気予報をピンポイントで見るのではなく、周囲、特に西側(図の左側)の天気を見ることで、雨の可能性をより正確に判断することができます

画面右下のECMWFとGFSは予測方法の違いです。2つの予測を見比べてみると、雨の降る時間や地域に差異があり、予測が絶対的なものではないことがよくわかります。
2つの予測のうち悪いほうを見れば、リスクをより正確に判断できますね。

SCW

上記のWindyと同様の見方をするものとして、SCWというサイトがあります。

判断方法はWindyと同じです。

なお、画面右下のボタンで「詳細」「広域」などを切り替えられます。
詳細は直近2日ほどしかないですが高精度、広域は10日ほどありますが大雑把です。
先の予定は「広域」で見るしかないですが、直前に必ず「詳細」で行き先の山の天候をチェックしましょう。同じタイミングで見ても、「広域」だと晴れなのに「詳細」では雨、ということがありますので。もちろん、「詳細」の予報を信じるべきです。

WindyとSCWの比較

WindyもSCWも似たような見方をするものですが、Windyのほうがより多くの情報を見ることができ、遠く先まで予報を見ることができる印象です。
ただ、直近の予報の精度だと、SCWのほうが精度が高いように感じます。
Windyは直近でも2〜3時間ごとの天気変化しか見れませんが,SCWは1時間ごとの天気を確認できます。

なお、Windyでより多くの情報を見る具体的な方法です。
Windyで場所を選んで天気予報を出した際に、画面下部の「比較」ボタンを押します。

Windyで場所を選んで天気予報を出した際に、画面下部の「比較」ボタンを押します。

すると、3つの予測方法それぞれの天気予報を出してくれます。

aramaki さんの情報によると、Windyのecmwfとgfsは全球モデルというちょっと粗いかわりに地球全体を2週間くらい先まで予測出来るモデルで、一方のSCWは気象庁のメソモデルなどのデータを用いているとのことです。
異なるモデルであるWindyもSCWも両方見ることで、リスクについて正確に判断できそうですね。

天気予報で登山の行き先を決める方法

実際に私が天気予報を見て登山の行き先を決める際には,以下の方法をとっています。

  • ヤマテンの週末おすすめ山域で、ざっくりの行き先を決める(上越、北アルプス、南アルプス、など)
    • ヤマテンは有料なので、このステップは取らずに次のステップから始めてもよいと思います
  • 行き先の場所&日時をSCWで見て、前述のように天気の崩れるリスクが低いかチェックする。リスクが高そうなら、別の山域もチェックする
  • mountain weather forecastでピンポイントの山の天気を見て、同じような予報になっているかチェックする。それが問題なければ、追加のチェックとして、気温や風が問題ないか、アクセス道路や登山道が凍るリスクがなさそうか、チェックする
  • だいたいここで終わらせていますが、雨などのリスクが高そうなら、さらに追加情報としてWindyでも天気の崩れるリスクをチェックする

こうした手順を取ることで、予想外に雨に降られることはなくなり、雨が降りそうだからレインウェアを必ず持参した上で早めに下山しようといった適切な計画をたてられるようになりました。

終わりに

いくつかのサイトでの天気情報の見方を説明しました。
サイトごとに予測方法が異なるので、複数サイトを見ることで、完璧な晴れか、多少雨の降る確率がありそうか、といった判断もできるようになります。
天気予報サイトの晴れか雨かの情報だけではなく、色々な情報を見ることで、より確実に天候を予想できますし、リスクを踏まえた装備や行動計画を立てられますね。特に雪山に登る際には、こうしたリスク判断が重要になります。
天気の判断の精度を上げて、安全に登山したいですね。

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2件のコメント

  1. scwはgfsのデータではありませんよ。
    ecmwfとgfsは全球モデルというちょっと粗いかわりに地球全体を2週間くらい先まで予測出来るモデル
    ですが、scwは気象庁のメソモデルなどのデータです。

    1. aramakiさん、コメントいただき、ありがとうございます!
      また、私の記載に誤りがあり、失礼しました。
      いただいたコメントをもとに記載を修正しました。
      ありがとうございました!

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