もともと体育会系で理系なので、音楽や美術などの芸術系は全く興味もなかったのですが、最近は東京国立博物館の年間パスポートを買うなど、芸術系も好きになってきました。
振り返ってみると、圧倒的にいいものに出会うことで開眼した気がします。
仏像
まずは仏像。
実家の大阪に帰省するついでに、子どもに京都を見せておこうと京都駅に近い東寺に行ったのが、仏像好きだと意識した最初です。
20体くらいの仏像が立ち並ぶ立体曼荼羅や、圧倒的スケールの仏像を見て、心の動くところがありました。
理系らしく、写実的なものが好きです。仏像を彫る仏師としては日本でいちばん有名な運慶の作品が一番好きです。快慶もかなりいいですが、運慶のほうが迫力があっていいです。
好きなのは等身大や巨大な仏像で写実的なもので、臨場感・迫力が好きなようです。
博物館や美術館で仏像を見ることもありますが、やはり仏像はお寺で見るのが一番です。
単に作品としての仏像を見るというのではなく、お寺としての空間の中に仏像があると、見る心持ちも変わってきます。しんとするところがあります。
好きな仏像とずっと仏像と目を合わせると、自分の心の底まで見られているような気になります。ある意味、自分と向き合っているのかもしれません。
空襲で焼けたようで、東京にはいい仏像の置いてあるお寺が少ないのですが、上野の寛永寺が好きです。仏像までの距離が遠くて,仏像を近くで見られないのが残念ですが。
日本庭園
仏像の次に好きになったのは、日本庭園でした。
帰省のついでに京都でお寺巡りをする中で、仁和寺の庭園に出会いました。広々とした庭の広がりを、縁側に座ってぼーっと眺める時間がぜいたくでした。登山にも通じますが、ただ無心になる時間というのはぜいたくです。
ここで開眼してからは、石庭などに行っても、いいなと思えるようになりました。
水墨画,屏風画,襖絵
こちらもやはり京都でお寺巡りをする中で、屏風画や襖絵を見て、日本画にも興味を持つようになりました。
日本画は特にこれという特定の作品がよかったというわけではないのですが、狩野派の豪華な襖絵や雪舟の水墨画が印象的でした。
最近は、円山応挙と伊藤若冲が特に好きです。
仏像目当てで東京国立博物館の年間パスポートを買いましたが、比較的似たようなものが多く入れ替わりが少ない仏像よりも、屏風画・襖絵・日本画のほうが最近は見どころが多いように感じます。
こちらは円山応挙の雪景山水図。
わたしはどうやら、写実的で、しんとした雰囲気が好きなようです。
写実絵画,西洋絵画
ゴッホのひまわり、モネの睡蓮、その他ルノアールやピカソなど、西洋絵画はテレビや図鑑などで見ても全く興味を持っていませんでした。自分は西洋絵画には興味がないんだろう、と思っていました。
しかし、テレビで小尾修という人の描く写実絵画のことをやっており、なぜか興味を惹かれました。
関東だと千葉に写実絵画専門のホキ美術館があるとのことで気になっており、時間ができたタイミングで行ってみたところ、ググッと引き寄せられてしまいました。
引き寄せられたのは、諏訪敦の2mを超す作品でした。仏像と同じく、臨場感・迫力が好きなようです。
ここで写実絵画に興味を持ち、写実絵画という観点で絵画を見るようにもなってきました。
その後、ロンドン旅行の際にナショナル・ギャラリーに行くと、ルネッサンスやその前のバロック時代の西洋絵画にも惹きつけられました。カメラが現れる前の時代の作品は写実的なものが多く、写実絵画と通じるものがあります。大きな作品を目の前にすると、臨場感・迫力があります。
それ以来、日本でルネサンスやバロック時代の西洋絵画の展覧会は、ときどき行くようになりました。上野の国立西洋美術館の通常展示もかなり見ごたえがあっていいですね。
なお、ロンドンのナショナル・ギャラリーや上野の国立西洋美術館で、ゴッホやモネ・ルノアールなどの印象派の作品の実物を見ましたが、それらには全く感化されませんでした。
圧倒的にいいものだとしても、自分の中の好き嫌いで感化される/されないはあるようです。
温泉
最後は変わり種ですが、温泉も好みが随分と変わったものの1つです。
もともとは温泉の開放感が好きで、広々とした露天風呂が好きだったのですが、那須湯元の鹿の湯でピリピリする硫黄泉に出会い、泉質重視に変わりました。それ以来、酸性の硫黄泉好きです。
終わりに
もともと興味がないと思っていても、圧倒的にいいものに出会うことで自分の新たな興味が引き出されるのは面白いですね。年を取るのも悪くない、というふうに思えます。
こうして振り返ってみると、全体として、写実的な臨場感・迫力を感じて、皮膚感覚として心が動くのが好きなようです。登山でも、蝶ヶ岳からの穂高の勇姿のように、間近に圧倒的な迫力があるのが好きですしね。
これからも自分の興味の幅を広げていきたいなと思います。