登山での遭難の一番の原因は、道迷いです。特に下山中の道迷いです。
道迷い遭難を防ぐための鉄則は、以下です。
- 迷ったと思ったら、確実に登山ルートと分かるところまで来た道を戻る
- 来た道もわからなくなってしまったら、尾根・山頂を目指す。見晴らしのいい場所で、現在地を確かめ、再度ルートを探す。尾根にいれば、ヘリコプターなどから見つけられやすい。
- 沢には下りない。人里に向かって下山したくなるが、沢は途中で滝が出てきて下りられなくなるし、無理に下りようとすると滑落してしまう。無理だと思っても沢は登り返せないところが多い。また、沢にいると、ヘリコプターなどから見つけられづらい。
- 無理に動き回らず、体力を温存する。来た道がわからなくなり、どちらが尾根・山頂かもわからなくなれば、体力温存に努め、警察や消防に救助要請をする。
とはいえ、私自身も道を外れて歩いてしまったこともあります。そんなときに役に立つのがスマホです。
道迷いの上記の鉄則は抑えたうえで、スマホのGPS機能で現在地を知り、登山道の場所を把握すれば、行くべき方向も定まりますし、気分的にも安心です。
スマホのGPS機能と言っても、単に現在地がわかるだけでなく登山地図上で現在地がわかる必要があります。また、遭難防止だけでなく、歩いた軌跡を記録して登山記録とする、といったことのために、専用のアプリを入れる必要があります。
以下に代表的なアプリ2つを紹介します。
どちらでも、無料の範囲で登山で利用するのに十分な機能と使い勝手があると思いますので、好みのものを使用すればいいと思います。
ヤマレコマップ
登山記録共有サイトのヤマレコが出しているGPSロガー(GPSログをとる)アプリです。
国土地理院の地図が見やすく表示されます。
そして、標準コースタイムが表示されているのは特筆すべき点です。
また、ヤマレコでみんなが通ったルートがオレンジ色の点で示されています。みんなが通っているルートならルートも明瞭で危険が少ないということですので、安心ですね。
縮尺が表示されないのが難点ですが、地図としては使いやすいものだと思います。
残念なのは、無料だとダウンロードできる地図が2か所というところです。
通常の登山だと1か所の地図で十分でしょうし、縦走でも2か所あれば足りるでしょうが、ちょっと面倒ですかね。
ヤマレコも営利企業ですし、無料で使用できる範囲に制限があるのは当然なので、やむなし、ですが。
YAMAP
こちらも登山記録共有サイトのYAMAPが出しているアプリです。
ヤマレコがPC向けのWebサービスをもとにアプリにまで広げていったのに比べ、YAMAPはアプリとして開発されており記録共有のSNSもついてくる、といったものです。
YAMAPのアプリもコースタイムが出てくるので、わかりやすいですね。
ただ、無料だと縮尺を大きくすると地図が荒くなってしまい、個人的に地図が少し見づらくなるように感じます。
通常利用の範囲だとそれほど大きな影響はない範囲でしょうし、YAMAPも営利企業ですので、ここの部分で有料化するというのは当然の部分ではあります。
あとYAMAPで気になるのは、Androidだと画面を垂直に立てた際に磁石の東西南北が正しく表示される点です。不思議なことに、iPhoneだと画面を水平に置いたときに東西南北が正しく表示されているようです。AndroidでもiPhone同様に、画面を水平に置いたときに東西南北が正しくなるようにしたほうが、見やすいと思うのですが。
まとめ
上記の通り、無料の範囲だと一長一短があるものの、無料の範囲でも十分に使えますし遭難防止としては問題ありません。個人的にはヤマレコマップのほうが地図が見やすいと感じますが、好みのものを使用すればいいと思います。
その「好み」ですが、アプリの使い勝手もありますが、登山記録共有サイトとして、ヤマレコとYAMAPとどちらが好きか、という観点で選ぶのがよいと思います。
ヤマレコは2007年と以前から始められており、剣岳を日帰りで登る人、冬に槍ヶ岳に登る人など、ずっと登山をやってきたコアな登山者の記録がたくさん残っています。ドンドンとレベルアップして、泊りでの縦走や、標準的な登山ルートから外れたバリエーションルートも登るようなことも視野に入れるのであれば、ヤマレコがいいと思います。
また、PCサイトから始まっているので、PCも使う人にはヤマレコが使い勝手がいいと思います。
一方のYAMAPは、2013年?に開始されており、アプリがメインです。
最近登山を始めたという人が比較的多く、初級・中級の記録が多いように思います。
初級・中級の登山記録を多く見たい、PCは使わずアプリメインという人には、YAMAPがいいと思います。