登山の服装は、ベース、ミドル、アウターの3レイヤに分けて薄手のものを重ね着しましょう、と言われていますね。
- ベースレイヤー:肌に触れるインナーウェア
- ミドルレイヤー:保温するための中間着
- アウターレイヤー:一番外に着る防風、防水のための服

レインウェアも含めてアウターが外から見えて目立ちますし、どれを選ぼうかと気になるところですが、今回は一番地味な、でもとても重要なベースレイヤーの服について。
ベースレイヤーは速乾性だけでいい?
ベースレイヤーは登山の際の肌着です。「汗が乾きやすい化繊素材のものを選びましょう」と言われていて、それが最重要なわけですが、実際に登山をしていると気になるところが色々と出てきます。
- 汗で身体を冷やさないようにする(綿が少しでも入っているものは避ける)
- 汗が乾いたときに臭くないものがいい(化繊独特の臭いは避けたい)
- 疲労を抑える機能があると嬉しい
体を冷やさないためには化繊素材がいいけれど、夏など大量に汗をかくと化繊素材はとても臭い。。。
「化繊素材」と記載していましたが、登山服の化繊素材はほとんどがポリエステル100%です。そして、このポリエステル100%の服を着て大量の汗をかくと、異様な臭気を発します。この服を着て電車やバスに乗るのは、周囲にとっては大迷惑です。
乾きやすいポリエステル100%だが、ポリエステル100%だと非常に臭い。この相反する問題をどう解決するかが難題で、私自身もまだ完璧な答えを見つけられていないのですが、色々試して自分なりの最適解を作りましたので、そのノウハウを共有します。
暑い時期の日帰り登山でのベースレイヤー
暑い時期の日帰り登山は、以下のような特徴になると思います。
- 比較的低山が多い=登山中も寒くならない
- 日中だけで夜がない=寒さへの考慮が不要
- 登山中の服を着るのは、その日だけ
つまり、ひたすら暑くて汗を大量にかく、ということですね。
一番簡単な対処方法としては、下山時に着替えて、汗をかいた服は密閉してザックに入れる、ということです。
ザックに入れていても臭いが漏れて出てきますので、ある程度の密閉性があるものがいいですね。
ただ、この方法だと芸がないので、別の方法も。
夏山用のベースレイヤーというとポリエステル100%がほとんどですが、ポリエステルとウールの混紡という製品もあります。20%でもいいのでポリエステル以外のものが混じっていると、それだけで臭いはグッと抑えられます。
例えば以下の商品は「ウール」と記載されていますが、ウールは11%。夏にはピッタリだと思います。
それじゃあ常にポリエステルとウールの混紡にすればいいじゃないか、と言いたいところですが、ポリエステルとウールの混紡にはデメリットもあります。
- 値段がポリエステル100%に比べて高い
- ポリエステル100%よりも暑く感じる
- ポリエステル100%よりも速乾性に劣る
なかなか難しいです。
結論としては、春や秋の登山だとポリエステルとウールの混紡、真夏はポリエステル100%で着替えを持参、です。ベースレイヤーに限らず、暖かい時期のミドルレイヤーも同様です。
ちなみに、私は試したことがないのですが、パタゴニアのキャプリーンという素材を使った服は、防臭効果が高く、臭いがあまり気にならないそうです。
ただ、値段が高いですね。。。私が購入に踏み切れない理由が、この値段の高さです。
こうした防臭効果の服は各社が出しています。
モンベルのウィックロン、フェニックスのデオシームなど試しましたが、それほど防臭効果を感じませんでした。キャプリーンだけは抜群の効果なのかもしれませんが、値段の高さにビビッて買えません。。。
暑い時期の泊りの登山でのベースレイヤー
続いては泊りの登山の場合ですが、日帰りとは異なる点があります。
- 夜は寒いので、防寒性能も必要となる
- 泊りの場合は高山に行くことが多く、防寒性能が一層重要になる
- 2日目もあるので臭いが強いままだと辛い
つまり、暑さ対策もあるものの、防寒対策も必要となってきます。ポリエステル100%では速乾性が高すぎて、寒く感じることもあります。
春や秋の日帰り登山に最適なポリエステルとウールの混紡もいいですが、私は暑さ対策を犠牲にしてウール100%を着ています。
ウールと言っても、各社出しているのはほとんどメリノウール100%です。メリノウールには以下のようなメリットがあります。
- 保温力が高い
- 防臭性能が高い
- 通気性が比較的高い
- 肌触りがいい
ただ、デメリットもあります。
- 速乾性が低い
- 素材が絡みやすい。傷みやすい
- 価格が高い
ということで、汗をかいた際の速乾性が低く、それほど長持ちしないのですが、保温力と防臭性能を取って、メリノウール100%を着ています。
速乾性が低いということで素材が汗をため込んでいるのですが、メリノウールの場合、寒く感じません。メリノウールの素晴らしいところです。
私の場合、暑い時期の泊りの登山では、ベースレイヤーにメリノウール100%、ミドルレイヤーにポリエステルとメリノウールの混紡というスタイルです。
寒い時期の登山でのベースレイヤー
寒い時期でも歩いていると暑いのですが、何といっても保温力が重視されます。
ということで、個人的には寒い時期のベースレイヤーはメリノウール100%一択です。
雪山登山の時には、メリノウール100%の長袖インナーに、メリノウール100%のミドル、GORE-TEXのアウター、というスタイルです。
雪山では保温力が命にかかわるので、値段の高さは気にせず、メリノウール一択です。
疲労防止
ここまで吸湿速乾性と防臭性の観点で素材の話をしてきました。こうした話は上半身のベースレイヤーの話が中心となるのですが、下半身にも当然ベースレイヤーは必要になります。では、下半身はどうするの?という話です。
下半身でも素材については同じ考え方です。
- 綿が少しでも入っているものは避ける
- 季節に合わせてポリエステル100%か、ポリエステルとメリノウールの混紡、メリノウール100%を選ぶ
ただ、下半身と言えば、全身の中で一番疲れやすい足があります。ベースレイヤーに疲労軽減効果のあるものを着用すると、ありがたいですね。いわゆるスポーツタイツです。
メジャーなところでは、ワコールのCW-X、C3fitなどがあります。店頭で実際に着用して、体にフィットするものを選びましょう。私は、ミズノのBG8000というものを着ています。
ちなみに、こうしたスポーツタイツを履く際に、直接着用するのか、それとは別に下着を着用するのか? どちらでもいいようです。私はスポーツタイツのみでその上にズボンを履いていますが、下着を履いている人もいます。好みの問題でしょうね。
最後に
ベースレイヤーでは吸湿速乾性ばかりが強調されますが、実際に登山をするとかなり防臭性も気になります。防臭性も気にしつつ、季節に合わせて素材を入れ替えると、快適に登山ができますね。財布と相談しつつ、徐々に装備をそろえていけるといいですね。