星空写真の現像・加工 無料ソフトRawTherapee での画像編集 / RAW 現像

今回は、RawTherapeeというソフトを使って星空写真を編集する方法について記載します。
RawTherapeeのほうが、より多機能で良い写真に仕上げられるが、よりわかりづらい、という印象です。
ちなみに、最初の画像は、北アルプス南岳から見た北穂高岳と天の川です。
山の左上で明るくなっているのは、北穂高小屋です。

Rawtherapeeとは(RAWデータ現像ソフト)

星空撮影の際には、デジカメの設定で、データを間引く前の「RAWデータ」で撮影するのが定石です。
ただ、RAWデータの場合には、最終的にJPEGなどのファイルに変換する「現像」という処理が必要になります。
これまでは面倒でRAWデータ撮影をしていなかったのですが、もう少しきれいな星空写真を撮影したいと思い、RAWデータ撮影を始めることにしました。
ここでは、撮影したRAWデータを現像するための無料ソフト「RawTherapee」の使い方をネット検索で調べましたので、まとめてみました。
現像のためのソフトですが、RAWデータだけではなくJPEGなどの画像ファイルの編集もできます。
非常に多機能でとっつきにくいですが、逆に言うと色々なことができる優秀なソフトです。

なお、無料の現像ソフトとしては、RawTherapee以外にもいくつか有名なものがあるようですが、RawTherapeeが無料で高機能という評判で、最初に使ってみて特に支障もないので使い続けている、という状況です。
もしかすると、他のソフトのほうが使い勝手がいいということがあるかもしれません。
また、RawTherapeeはマシンパワーをかなり消費するようで、電源はグングン減っていきます。低スペックのマシンだと厳しいかもしれません。

なお、仕事でデザインをしているわけでも本格的に学習したわけでもなく、ネットの記事を見よう見まねでやってみて、自分なりに有効そうなものをまとめたものです。
記載に誤りがあったり、もっといい方法があったりすると思います。
ぜひアドバイスいただけると助かります。

無料ソフト「RawTherapee」のインストール

以下からソフトをダウンロードします。

2018年5月2日時点だと、Windowsのかたは「RT 5.4 for Windows Vista/7/8/10 64-bit – fast」になると思います。
左端の↓ボタンをクリックすると、zipファイルのダウンロードが始まります。
ダウンロードされたzipファイル内のexeファイルをダブルクリックしてインストールします。

以下の説明は、バージョン5.4のものです。

基本の使い方

RawTherapeeを起動すると、以下のような画面になります。

左上の「ファイルブラウザ」を選び、左下のフォルダから編集したいファイルのあるフォルダを選ぶ(ダブルクリックする)と、中央に該当フォルダの写真が縮小表示されます。
ここで編集したいファイルをダブルクリックすると、該当写真の編集画面に遷移します。
こちらが編集画面です。
編集する画像が中央に表示されます。
写真の下部の右側に、写真の表示サイズを調整するボタンが配置されています。
編集そのものは、写真右側のところで行います。
写真右側の編集画面の上部には、こうしたボタンが並んでいます。

これはどういう編集を行うかの機能を選ぶボタンになっています。まずは左端の露光から。

露光調整

左上の「自動露光補正」を押すと、勝手に露光の補正をしてくれます。
自分で調整したいときは、露光量補正や黒レベル、明度、コントラスト、彩度などを調整します。
最下部のトーンカーブ1の右にボタンがあり、そこで「カスタム」を選ぶと、

トーンカーブが出てきますので、明るさの編集をすることができます。
トーンカーブは、横軸がそのときの写真の明るさ、縦軸がその明るさを編集でどういう明るさに変えるか、というものです。
カメラ内部ですでに画像編集されている場合もありますので、その際には「リニア」を選ぶことで設定をリセットできます。
上記の場合は、画面の左側(つまり暗い部分)のグラフが上に持ち上げられている(明るさを大きくする)ようにされているので、もともと暗い部分が明るくなります。
画面の右側の明るい部分はグラフがなだらかに(Y軸の値の差が小さく、つまり明るさの差が小さく)なっていますので、もともと明るい部分はあまり差がつかず目立たなくする、という編集を加えています。
一般的に、編集したグラフが上にペタッとついてしまうと、一部分が白飛びしてしまうのでNGだそうです。
また、右肩上がりにすべきで、部分的にでも右肩下がりになるとNGとのこと。

露光調整のところを少し下に下がると、グラデーションフィルターがあります。個人的にはこの機能はとても有用だと思っていて、今後もRawTherapeeを使っていこうと思わせてくれたものです。この機能は、画面下部の街の明かりが明るくて上部の星が見えづらい、といったときに、街の明かりを抑えるような補正ができます。

まず、赤枠をかこっているところをクリックして、機能をONにします(ここに限らず、このボタンをONにすることで個々の機能を有効化する、というのがRawTherapeeの使い方です。標準的なものはこのボタンがなく、常に有効化されていますが)。

次に水色枠のボタンを押します。

すると、画面中央に十字マークが現れます。この十字マークの横線の上下での明るさの傾き(グラデーション)を補正するという操作を行います。

この画像の場合、画面下部が明るいので、画面下部を暗くして上部を明るくしていきます(必要があれば、十字マークの横線をクリックしながら動かすことで、明るさのグラデーションの方向を変えることができます。たとえば、左下を暗く右上を明るく、といったことができます)。

ここでは、以下2つを行いました。

1.十字マークの最下部の横棒を下の方まで動かしました。
これは、明るさの修正を行う範囲を決めているものではないかと思います。横棒を画面外にまで動かすことで、画像全体に修正を行うという操作になる(のではないか)と思います。

2.画面右端のグラデーションフィルターのところの「強さ」をマイナスの適当な値に変更しています。
マイナスにすることで、画面下部を暗くして上部を明るくすることができます。画像の見た目で、マイナスの値そのものを適当に調整します。

これで、画面全体がおおむね均一な明るさになってきました。ただ、全体的に明るすぎるので、全体のバランスを調整します。
画面右の編集画面を上部にスクロールし、ここでは露光量補正、黒レベル、明度、コントラストを調整して、全体的に空は暗く、星は明るくなるようにしました。
※このあたりの調整を本来どうやるべきなのか理屈が分かっておらず、行き当たりばったりで値を変えています。。。

ちなみに、今回は利用していませんが、L*a*b*調整というものも有用そうです。

1つ前の明度調整は、明るさだけではなく色合いまで変えてしまうそうですが、このL*a*b*調整では人間の見た絵の色合いは変えずに純粋に明るさを変えられる機能だそうです。
確かに、1つ上の画像は空は青っぽく、右下の街明かりや山の雪はオレンジっぽくなっていますね。

こちらが、3つ上の画像をもとに、L*a*b*調整で編集したものです。

L*a*b*調整で修正すると、全体的にモノトーンっぽく仕上げられますね。こちらの方が、確かに本来の色合いに近い気がします。
また、こちらも今回は利用していませんが、トーンマッピングを使うのも、かなり効果があります。

「強さ」の値を大きくすると、画像の暗い部分を、ノイズの発生を避けながら明るくしたり、コントラストをはっきりさせてくれます。これは画像全体に対して調整してくれるので、初心者にはちょうどいいですね。
左上の機能ONを忘れずに。
全体が明るくなるので、ここの調整後に、前述の「露光補正」で全体の明るさを下げる必要が出てくると思います。
トーンマッピングと似たところでは、「シャドウ/ハイライト」というものもあります。

コントラスト差の大きい所が、クッキリと表示されるようになるそうです。
「ハイライトを暗く」の値を大きくすると、明るすぎるところを暗くできるので、こちらも便利です。トーンマッピングよりも狭い範囲に効果を与えるそうです。

変形

続いて、画面右側の編集画面上部で、赤枠で囲っている通り、左から5つ目の「変形」を選びます。

3つ前の写真では立山・剱の高さがズレており、写真撮影時にカメラが水平になっていなかったので、これを修正します。
水色枠で囲った「回転」で角度を指定することで、補正できます。

次に、緑枠で囲った「レンズ補正プロファイル」で、必要があれば「Manual Correction parameters」を指定します。
一般的にRAWデータ撮影をするとレンズの特徴により画像がひずんでいるので、それを正しい見た目に補正することが必要、ということのようです。
今回の場合、もともと選択されていた「Auto-matched correction parameters」でも「Manual Correction parameters」の「Sony DSC-RX100」でも同じ見た目だったので、変更しないままとしました。

仕上げ

画面右側の編集画面上部で、2つ目のところのノイズ低減や、3つ目のホワイトバランスを使って、見た目を修正してもいいと思います。
私はこのあたりを修正したことがなく、あまりよくわかっていません。

最後に、画面下部左側の赤枠で囲ったボタンを押すことで、編集した画像をJPEGなどの形式で書き出して保存することができます。
これで完成です!

補足

画面左側に画像編集の履歴が表示されています(赤枠で囲った箇所)。
この各項目を選ぶことで、その修正が終わった時点の画像に見た目を戻すことができます。それぞれの編集内容が良かったかどうかを見比べて取捨選択できるので、便利ですね。

最後に

ここで紹介した内容は、RawTherapeeの持っている機能のほんの一部です。
もっと色々なことができるソフトですので、使えば使うほどに良さがわかるソフトではないかと思います。
一方で、最初のとっつきにくさがあると思いますので、このノートが役に立てば幸いです。

なお、最初に記載した通り、ネットの記事を見よう見まねでやってみて、自分なりに有効そうなものをまとめたものです。
記載に誤りがあったり、もっといい方法があったりすると思います。
ぜひアドバイスいただけると助かります。

また、RawTherapeeはかなりわかりづらいので、もう少しだけ簡単に操作できるものとして、同じく無料ソフトのGIMPがあります。使い方は「星空写真の加工 無料ソフトGIMPでの画像編集」をどうぞ。

そもそもの星空撮影の方法は「コンデジRX100での星空撮影」を参照ください。RX100以外のデジカメでも参考になりますよ。
また、よりきれいな星空写真を撮るために太陽・月・天の川の位置を踏まえて撮影時間や撮影する方角を判断する方法は「星空写真撮影のための太陽/月/天の川/天気予報活用」参照ください。

こちらの記事もどうぞ

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です