初心者を登山に連れていく際の注意点とオススメルート

近所や職場の初心者の方から登山に連れていってほしいと言われることが時々あります。
自分の頭の整理も兼ねて、初心者を登山に連れていくときに、私なりに気を付けていることをまとめてみました。
初心者が登山を始めるときの注意点にもなると思います。


計画前のチェック

岩場を非常に怖がったり、ビックリするほど汗をかいたり、思ったよりも持久力がなかったり、人により色々な違いがあります。
連れていく人が体力面や精神面でどんな人なのか、事前にそれとなくチェックしておきます。
直接的に登山のことを聞いても、登山を体験したことがない人には答えようがないので、普段運動しているか、高所恐怖症か、登山のどんなところに興味を持ったか、など周辺状況を聞いてみます。
また、普段の歩き方や身のこなしを見て、どの程度体を動かせそうか、チェックします。
そして、その人にあった行き先を考えます。
また、複数人の場合、自分で見られる程度の人数に絞ります。
参加者のレベルと行き先によりますが、5人程度までかと思います。
そして、基本的に参加者全員が顔見知りであるようにします。
後述するように基本的に自由に歩いてもらいたいと思っているのですが、参加者同士が知り合いでないと自由に歩いた際に参加者の場所がばらけすぎて収拾がつかなくなりそうなので。

行き先のレベル設定

大きく分けて、ハイキングか登山かを決めます。
子どもが一緒だったり、体力に不安があったり、けがの懸念があったりした場合には、ハイキングレベルの行き先にします。
ある程度体力があったり、普段ハイキング程度はしていてレベルアップしたいという場合には、登山レベルの行き先にします。

ハイキングでの行き先

ハイキングの場合は、以下のようなことを考えます。
  • 歩行時間は1~3時間程度
  • 登山口までのアクセスが良い
  • 展望がよいなど、非日常感が味わえる
  • いざという時のエスケープ策がある
    • ロープウェイやリフトなどがあると、楽しみ・エスケープ両面でよいですね
    • 同様に、ルート中にトイレや売店・茶店があると、楽しみも安心感もあります。
東京近郊なら、まずは高尾山、大山、筑波山などが最初の候補になると思います。
そこから少し進んで3~4時間程度歩けるようになれば、選択肢が広がりますね。いくつか候補を挙げてみます。

大菩薩嶺 (だいぼさつれい) – 2057m
  • 上日川峠から大菩薩峠も回り、標準コースタイム3時間25分
  • コース中に福ちゃん荘、介山荘と山小屋あり
  • 山梨県の登山グレーディングで、難易度A、体力度2
  • 富士山や南アルプスの大展望。笹原の尾根道もきれい
  • 近くのやまと天目山温泉でも大菩薩の湯でも強アルカリのいい温泉
  • 参考 2017/8/20の登山記録

石割山 (いしわりやま) – 1413m

  • 平野から登り大出山のほうへ。標準コースタイム4時間程度
  • 富士山の大展望を見ながらのプチ縦走
  • 途中からのエスケープルートあり
  • 近くに山中湖温泉紅富士の湯

登山での行き先

登山の場合は、以下のようなことを考えます。
  • 歩行時間は標準コースタイムで4時間前後
  • 長野・山梨・群馬などの登山グレーディング(登山ルートごとの難易度と体力度をまとめたもの)で、難易度B以下、体力度2以下
  • 好みに応じた非日常感がある(展望、ちょっとした岩場、コケ、高山植物、など)
  • 参加者の苦手なところは外す(岩場、激しいアップダウン、など)
  • 集合時間は早すぎない(午前4時出発などは初心者にはビックリされます)
  • 現地集合ではなく、集合してみんなで登山口に移動(朝早くから高速が渋滞すると知らない人が多数)
  • ルート中(少なくとも登山口)に小屋やトイレがある
  • 下山後に温泉や食事などの楽しみがある
上記で記載した登山グレーディングは、以下を参照ください。
上記の登山グレーディングを踏まえ、東京近郊のハイキングレベルでは味わえない、登山ならではの行き先を上げてみます。


谷川岳 (たにがわだけ) – 1977m

  • ロープウェイを使って天神平から標準コースタイム4時間20分
  • 群馬県の登山グレーディングで、難易度B、体力度2
  • 山頂手前に肩の小屋があり、トイレ完備
  • 上越国境稜線(谷川主脈)の景色が美しい。天気がよければ富士山も見える
  • 高山植物も多数あり
  • 水上に温泉も食事処も多数あり
  • 岩場があるので、バランス感覚が悪い人、怖がりの人には厳しいかも
  • 参考 2018/8/18の登山記録

日光白根山 (にっこうしらねさん) – 2578m
  • 丸沼高原スキー場からロープウェイを使い、標準コースタイム4時間40分
  • 山頂北側に岩場あり。岩場OKなら北側から登って南側から下山。岩場NGなら南側ルートの往復
  • 群馬県の登山グレーディングで、難易度B、体力度2
  • 五色沼や周囲の山々の景色がいい。高山植物やコケも美しい。
  • 沼田に温泉多数。時間があれば金精峠を超えて日光湯元温泉に入るといい
  • 参考 2018/10/13の登山記録
尾瀬 (おぜ)
  • 鳩待峠から尾瀬ヶ原やアヤメ平へ
  • 至仏山へのピストンなら標準コースタイム4時間50分
  • 初夏の水芭蕉、秋の草紅葉など、いつ来ても素晴らしい景色。
  • 鳩待峠から1時間の山ノ鼻にも山小屋多数で安心。
  • 沼田に温泉多数。時間があれば金精峠を超えて日光湯元温泉に入るといい
  • 尾瀬ヶ原はハイキングレベル?
  • 参考 2018/10/20の登山記録
    • こちらでは尾瀬沼まで抜けているが、初心者と一緒なら尾瀬ヶ原のどこかで引き返すのがよい
赤城山 (あかぎやま) – 1828m
  • 黒檜山~駒ヶ岳の周回はコースタイム3時間35分
  • 群馬県の登山グレーディングで、難易度B、体力度2
  • その他、地蔵岳の周回や、鈴ヶ岳の周回、鍋割山の周回など、様々なコースあり。いずれも群馬県の登山グレーディングで、難易度A~B、体力度2~3
  • 赤城温泉、滝沢温泉、富士見温泉など、近辺に温泉多数
日向山 (ひなたやま) – 1660m
  • 尾白キャンプ場から標準コースタイム4時間10分。矢立石駐車場からなら、標準コースタイム2時間30分
  • 錦滝ルートは危険なので避ける(2018/10時点では通行止め)
  • 山梨県の登山グレーディングで、難易度A、体力度1~2
  • 尾白キャンプ場に売店・トイレあり
  • 道中は比較的地味だが、山頂は白砂のビーチで展望もよい
  • すぐ近くに温泉「尾白の湯」がある

北八ヶ岳 麦草峠 – 2127m
  • 白駒池周回、縞枯山、にゅう、高見石小屋、中山など様々なルートあり
  • 中山は少し岩場があるので、岩場NGなら避ける
  • 紅葉時期は非常に混んで駐車場待ちの渋滞になるので、よほど朝早く来るか、時期をずらす
  • 国内屈指のコケの美しさ。
  • 蓼科温泉郷など、周囲に温泉多数。
  • ※中山に行かなければハイキングレベル?
  • 参考 2016/7/16の登山記録

北横岳 (きたよこだけ) – 2480m
  • 北八ヶ岳ロープウェイからの山頂ピストンは、標準コースタイム2時間10分
  • 縞枯山荘、縞枯山、雨池に寄るのもOK。三ツ岳・雨池山の周回は岩場を通るので要注意
  • 山頂からは八ヶ岳やアルプスの大展望
  • 近くに蓼科温泉郷
那須岳 (なすだけ) – 1915m
  • 那須ロープウェイから茶臼岳山頂・峠の茶屋・姥ヶ平などへ。
  • 栃木県の登山グレーディングで、難易度A~B、体力度1~2
  • 紅葉時期は非常に混んで駐車場待ちの渋滞になるので、よほど朝早く来るか、時期をずらす
  • 火山の噴煙など地球のダイナミズムを感じられる。また、紅葉の名所
  • 鹿の湯などの那須湯本温泉は硫黄臭たっぷり
  • 参考 2014/10/26の登山記録

三本槍岳 (さんぼんやりだけ) – 1916.9m
  • マウントジーンズの那須ゴンドラから標準コースタイム4時間5分
  • 栃木県の登山グレーディングで、難易度B、体力度2
  • 紅葉の名所だが、こちらは紅葉時期もそれほどは混まず、紅葉の穴場
  • 鹿の湯などの那須湯本温泉は硫黄臭たっぷり
  • 参考 2017/10/8の登山記録

天気のチェック

登山初心者で装備も完全ではないので、雨が降る可能性があるときには山行を中止します。
複数のサイトで天気をチェックし、雨が降らないかチェックします。
精度が高い天気予報として、私は以下をチェックしています。
有料で、かつ直近2日の予報しかありませんが、信頼度は一番高いと思います。
英語のサイトで、風速が秒速ではなく時速ですが、予報が簡潔に出てきて見やすいです。
スーパーコンピュータが予測する高解像度の天気予報。山の場所を意識して、周囲の雲や雨の様子を見ることで、雨が降りそうかどうかの判断を行う必要があります。
こちらも、スーパーコンピュータが予測する高解像度の天気予報。山の場所を意識して、周囲の雲や雨の様子を見ることで、雨が降りそうかどうかの判断を行う必要があります。
詳細の天気のチェック方法は、「天気予報サイトの使い方」を参照ください。
天気がよくなさそうであれば、迷わず中止するべきですね。
事前に、2~5日前に確定すること、天気がよくなければ中止することを伝えておくようにしています。

参加者の持ち物

季節や天候により持ち物が変わってきますが、以下がポイントです。
  • これから登山を続けるかどうかわからないので、できるだけ今持っているもので対応してもらいます。
  • 思った以上に山頂は寒く、また歩いていると思った以上に暑いことを合わせて伝えておくのが重要ですね。
例えば以下のような感じで持ち物リストを伝えます。
  • 朝食
  • 昼食(私は水分・塩分補給も兼ねてカップ麺とおにぎりです。スープを飲み干す必要がありますが)
    ※カップ麺なら魔法瓶にお湯も持参ください
  • 飲み物(1~2L程度。水より糖分・塩分を含むものがベター。スポーツドリンクなら水で2倍に薄めて塩を1~2g足すのがベスト)
  • お菓子類(糖分と塩分補給)
  • 長袖・長ズボン
  • 防寒具(薄手のダウンジャケットなど)
  • ウインドブレーカー(風が吹いても冷えないように。防寒具に防風機能があれば不要)
  • レインウェア(ウインドブレーカーと兼用OK)
  • ハンカチ、ティッシュ
  • (手袋) ※寒さ対策
  • (レジャーシート) ※お好みで
  • (帽子)
  • (サングラス)
  • (カメラ)
  • 温泉道具(タオル、バスタオル) ※車に置いて登山
  • 着替え ※車に置いて登山
  • 靴はスニーカーでもOKですが、底が厚く、溝の深いものがオススメです。
  • ※靴擦れ防止で、靴下は分厚いものがよいです。
  • ※汗冷えしないように服(特に肌着)は綿を含まないものがオススメです。
  • ※バーナーと鍋は私が持参します
合わせて、必須ではなく参考情報として、スマホのGPSロガーも紹介しておきます。

自分の持ち物

普段の登山に加えて、以下も持参します。
  • 予備の水
    • 少なく持ってくる人への対応、けがをした際の洗い流し
  • 予備の防寒具
    • 少なく持ってくる人への対応
  • 塩分補給
    • 塩アメ、塩分補給タブレットなど
  • 休憩時のお楽しみ
    • コーヒー、お菓子など
  • 多めの非常食
  • 救急キット、ツェルト、予備靴ひも
  • ロープ、スリング、カラビナ
    • 参加者のレベルと行き先次第で
  • ストック
    • 自分のストック、予備のストックを参加者に貸し出します
  • 予備のヘッドライト
    • 参加者全員分までは用意できませんが、できるだけ多く持参
  • 予備のタオル、割りばしなど

最終案内

集合日時・場所とともに、登山開始時刻、チェックポイントでの時刻、下山時刻、帰宅時刻などの当日のスケジュール見込みを連絡します。
また、天候やトイレ箇所などの注意点や、温泉や食事処の情報もあわせて伝えます。
そして、登山届を出し、登山届を参加者にも送付します。
※参加者のレベルによりますが、コースタイムの15~20%増し+休憩時間も多めで計画します。計画時に十分なバッファ(予備)を取るのが最重要です。
登山届は、以下で行っています。
同行者のところのメールアドレスを記入すれば、同行者にも登山届がメールで届きます。
長野県、山梨県、群馬県、新潟県、神奈川県、岐阜県、栃木県などと提携されており、遭難時に各自治体に情報が提供されるため、遭難救助の手助けになります。

登山中の心がけ

このあたりは参加者のタイプにより変わってくる/変えるべきところと思いますが、私が心がけていることです。
  • 基本的に自由に歩いてもらい、登山の技術や「うんちく」は聞かれるまで基本的に話さない
    • 堅苦しくせず、まずは楽しんでもらうのが第一
    • 多少失敗しても大丈夫な行き先を選んでいるし、失敗しないように教えるよりも失敗して自ら学ぶほうがよい
  • 注意やアドバイス、ルールを伝えるときは、最重要のことを少しだけ話す。1度に多くを話さない
    • 混乱させない。堅苦しくしない
  • 急がせない、無理しない
    • 参加者のペースに合わせて。休憩や写真撮影も心ゆくまで
  • 計画に縛られず、柔軟に
    • その場で参加者が興味を持ったことに時間を使う。無理しない
  • 1時間程度ごとに休憩をはさみ、水分・糖分・塩分補給を促す。
    • 特に歩き始めに初心者はハイペースで先へ先へと進みたくなるので、歩き始めは意識的に休憩をはさんだほうがいい。本来なら歩き始めは30分後に休憩をはさみたいが、調子づいているときはその気持ちを重視して1時間後に休憩をはさむ。
    • それとなく参加者の状態を見たり様子を聞いたりして、無理していないか、歩き通せそうか、確認する。
    • 状況によりストレッチを促す。
    • ハイペースの場合、ゆっくり歩いたほうが疲れず長く歩けていいですよ、と伝える(上から目線で命令しない)
  • 下山時刻を意識して、危なくなりそうなら早めに参加者に伝えて、コースを変えたり、自発的に休憩を短くしたりしてもらう
  • 全員があまりばらけないようにする
    • 安全のため。自由に歩いてもらうので多少ばらけるが、ある程度目の届く範囲内で。分岐や目印では止まってもらう
  • 参加者の写真を撮る
    • 普段は景色や植物を撮りますが、参加者の写真も撮ってあとで共有する
  • 自分も楽しむ
    • 自分がカリカリしていると場の雰囲気も悪くなるし、自分が楽しんでいるとみんなも楽しめる
※ストレッチや膝痛予防は以下を参考に。

登山、その後…

登山して帰宅した後で、撮った写真はgoogleフォトに入れ、それらを共有アルバムとして参加者に共有します。
参加者もその共有アルバムに写真を追加できるので、みんなで写真を共有できます。
細かな手順などは、以下を参照ください(私の記事ではないですが)。
※こちらでは「一定期間経ったら共有は解除すべし」と記載されていますが、私は特に気にしないので、ずっと共有し続けています。
また、連れていった人が登山を気に入り、その後も続ける、色々と登山について知りたい、という話があれば、以下の資料を紹介しています。
個人的に少し異なる意見のところもなくはないですが、しっかりとまとまって記載されているので、ステップアップを考える初心者の方にはちょうどいいのではないかと思います。

最後に

最初のうちはバッファ(予備・余裕)が少なかったり勘所がわからなかったりしましたが、繰り返す中で自分の中で段々とルールができてきました。
計画時に十分なバッファ(予備・余裕)を取るのが最重要ですね。
他人を連れていくという責任感で気が重くなったり、色々と計画するのは面倒でもありますが、単独行とは異なる楽しみもあります。
単独行や家族との山行はこれまで通り続けつつ、登山に連れていってほしいという要望には応えていこうかと思っています。

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